せっかく特性要因図を作っても、役にも立たないものになってしまう場合すらあります。
特性要因図作成にあたって注意すべき点には次のようなものがあります。
目次
特性要因図作成の目的を明確にする
特性要因図の作成にあたっては、特性要因図を作る目的を明確にする必要があります。
トラブル予防のためか、トラブルの改善のためかを事前にしっかりと決めておく必要があります。
要するに作るのが管理用特性要因図なのか解析用特性要因図なのかを判別しておかなければならないのです。
管理用特性要因図は、未発生の問題を予防することを目的に、管理を必要とする要因をすべて列挙したものです。
対策検討型であり、管理すべき要因を演繹的・系統的に列挙し、絞込みは行いません。
解析用特性要因図は、現に発生した問題について、影響の強い要因及び問題と主要因の因果関係を明確にすることを目的に、データ(特徴)を収集して推定された要因を列挙したものです。
原因追及型であり、問題と主要因の因果関係を明確にするもので、要因の絞込みが必要です。
管理用特性要因図と解析用特性要因図は形こそ似ていますが、目的、要因の列挙、絞込みの有無等が異なります。
両者を混同してしまうと、意味のない特性要因図ができあがってしまうおそれがあります。
事前準備を十分にする
問題の特徴、発生する工程や時間等についての知識や経験がなければ、要因の範囲の絞込み、要因の絞込みを的確に行うのにも限界があります。
そのため、特に解析用特性要因図を作成に際しては、取り組もうとするテーマの予備知識を仕入れておく、実務を経験する、経験できない場合には経験者にインタヴューしておく等、事前に準備しておくことが重要になります。
特性要因図をデータで確認する
特性要因図は、特性及びそれに影響する様々な要因の関係を系統的・階層的に整理した図です。
ただし、その時点では結果とその「重要な原因」の候補を図示したものにすぎません。
特性要因図に描かれたことは、あくまで仮説です。
特性要因図によって調査された要因が、本当に「重要な原因」であるかどうかをデータで確認する必要があります。
製造業等では実験計画法、重回帰分析法等によって原因と結果の関係を把握する必要があります。
ヒヤリハット活動では、そこまでの厳密性は求められないかもしれませんが、原因と結果の関係をデータでしっかり確認することで、本格的な事故防止につなげていくことができます。
特性要因図は実用性優先
出来上がった特性要因図には、ある種の美しさもあります。
しかし、特性要因図は観賞用の絵画ではなく、原因と結果との因果関係を系統的・階層的に整理した図であり、データを照合するためのツールです。
要因を整理して見やすくすることは重要ですが、必要以上の美しさを求める必要はありません。
特性要因図は真の「重要な原因」を探し出すために使いつぶす実用品であり、鑑賞して悦に入るようなものではないのです。