ワンポイントKYT(ワンポイント危険予知トレーニング)は、KYT4ラウンド法(KYT4R法) の応用的な手法です。

ワンポイントKYTは現場でその時その場に即した実践的な危険予知を行うための手法で、KYT4ラウンド法に比べ、短時間かつ少人数で行うので、いつでもどこでもできるという特徴があります。

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ワンポイントKYTの特徴

ワンポイントKYTで最も重要なことは、基本となる4ラウンドのうち、第2ラウンドの本質追究(危険のポイントは何か)及び第4ラウンドの目標設定(私たちはこうする)を重点実施項目1つ(ワンポイント)に絞り込んで行うことです。

さらに、

  • 現場の作業チームと同じくらい、3人程度の少人数で行う
  • 口頭で行う(ホワイトボード等は使わない)
  • 立ったまま5分未満の短時間で行う

といった特徴もあります。

ワンポイントKYTでは絞り込みが重要

注意したいのは、「絞り込み」は時間を短縮するためだけにするものではないことです。
現場での実践につなげるため、着目する危険とそれへの対策をそれぞれ1つに絞り、やりきることをメンバーが同意することが重要なのです。

危険は1つしかない、対策は1つだけでいい、ということではありません。

ワンポイントKYTはその時その場の現場に即した実践を目指すもので、危険への対策を確実にしていく合意が重要なのです。

ワンポイントKYTの基本はKYT4ラウンド法

ワンポイントKYTは、KYT4ラウンド法を基礎としつつ、KYTを現場で活用してくための手法です。

基本となるKYT4ラウンド法(KYT4R法)は、相対的に多くの参加メンバーが本音で話し合い、危険を指摘し合うものです。
また、進行過程をホワイトボード等に書きながら行います。
その結果、ある程度時間がかかってしまうものになってしまいます。

ワンポイントKYTは、短時間で完了させることができるように、次のようにして行います。

  • 3人程度の少人数で行う
  • 危険のポイントと目標設定を1つに絞り込む
  • 口頭で行う

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ワンポイントKYTのやり方

ワンポイントKYTは次のようにして行います。

ワンポイントKYTの前提

参加メンバー

  • 3人程度の少人数
  • 1人がリーダーとなり話し合いへの参加を促す

短時間で行う

  • 口頭で行い、ホワイトボード等は使わない
  • 現場・現物で立ったまま行う

KYTシート

  • ワンポイントに絞り込むため、状況を限定したKYTシートがいい
  • 状況説明に使い、KYTは現場・現物で行う
  • できる限り現場に即した自社製がいい

ワンポイントKYTでは、作業チームが現場に即したKYTを繰り返すことができるようになり、訓練の回転を速くすることによりKYTの定着が進むという点でも有効です。

ワンポイントKYTの具体的手順

0 導入

メンバーが円陣を組み、リーダーが整列・番号、あいさつ、健康確認を行います。

1 第1ラウンド(どんな危険が潜んでいるか)

リーダーはKYTシートに描かれた状況を説明し、メンバーの発言を促します。
KYTシートの中に潜む危険要因とそれが引き起こす現象を指摘し合います。

「○○なので、△△して××になる」(危険要因+現象)のような短文の形をとるようにします。

  • 「○○なので△△して」:危険要因
  • 「××する」:現象=事故の型

ただし、指摘はそれほど多くなる必要はなく一人2項目程度、3~5項目程度で十分です。

2 第2ラウンド(これが危険のポイントだ)

リーダーは参加メンバーと話し合い、危険のポイントを一つ「ワンポイント」に「絞り込み」ます。
それを指差し唱和する等して、参加メンバーが合意したことを表します。

3 第3ラウンド(あなたならどうする)

絞り込んだワンポイントについて、どうしたらよいか、参加メンバーが実行可能な具体策(実施項目)を話し合います。
できれば一人1項目、2~3項目程度が出るようにしたいところです。

4 第4ラウンド(私たちはこうする)

リーダーは参加メンバーと話し合い、実施項目の中から最重点実施項目1つを「絞り込み」ます。
ここから
「○○する時は□□を△△して××しよう」
といった形のチーム行動目標ににまとめ、参加メンバー全員で確認します。

5 確認

こうして出来上がったチーム行動目標から、指差し呼称項目1つを決め3回唱和して確認します。

以上の0~5の手順全体を5分以内、できれば3分以内にに完了するようにするのが目標です。

6 レポート作成

ワンポイントKYTはこれで終了ではありません。

リーダーは上記の手順終了後、次の点についてレポートを作成します。

  • 第2ラウンド ワンポイント
  • 第4ラウンド チームの行動目標
  • 確認 指差し呼称項目

について記載しておくことが必要です。
これについては事前にレポートの様式を決めておくと便利です。

ワンポイントKYTを実施するための注意

ワンポイントKYTは、KYTが浸透した職場に適した手法で、特にリーダーはKYTの正しいやり方に習熟している必要があります。
簡便なKYTの手法と勘違いしてしまうと、効果が発揮できないことになります。

また、第2ラウンド、第4ラウンドをワンポイントに「絞り込み」ますが、これは多様な危険や対策を無視するということではありません。
危険は1つしかない、対策は1つだけでいい、という態度をすすめるものではないのです。

ワンポイントKYTは口頭で行いますが、手順終了後のレポート作成は必須です。
口頭で短時間で行うからこそ、記録はしっかり取っておく必要があります。
作成の省力化のためにも、様式を事前に決めておくことが重要です。

KYT4ラウンド法(KYT4R法)

ワンポイントKYTも基本となるのはKYT4ラウンド法です。

危険予知トレーニング(KYT)は、具体的には「KYT4ラウンド法(KYT4R法)」と呼ばれる方法によって実施するのが一般的です。

危険予知トレーニング(KYT)は、十分な話し合いができる5~6人くらいのチームで実施すると効果的です。
4ラウンド(4R)は、1現状把握、2本質追究、3対策樹立及び4目標設定からなります。

1 現状把握(どんな危険が潜んでいるか)

まず、職場や作業現場などの日常の風景の写真やイラストをKYTシートとして、参加メンバーに提示します。
その中に、どのような危険が潜んでいるか、参加メンバーに危険要因を指摘させます。
危険要因をできるだけ挙げ、その危険要因と引き起こされる事故とを明らかにします。

2 本質追究(危険のポイントは何か)

指摘内容が一通り出揃ったところで、その危険要因の原因等について参加メンバー間で検討させ、危険要因を整理させます。

3 対策樹立(私たちはどうしたらよいか)

重要と判断した危険要因に対して、危険が現実のものにならないようにするためにはどうすればよいかを検討します。

4 目標設定(私たちはこうする)

3でできた対策のうち現実的で実効性のあるものを選び、同様の状況や作業における行動規範を、安全目標として標準化します。

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