1人KYTは、KYT4ラウンド法を基本とする手法で、メンバーそれぞれが第4ラウンドまで行った後に結果を発表、相互コメントをしあうものです。
一人ひとりの危険に対する感受性向上を図ることを目的としています。
目次
1人KYTとは
1人KYTは、リーダー以外のメンバーが同時に同じKYTシートで、それぞれが第4ラウンドまでのKYTを短時間で行った後、その結果をリーダー司会で発表し合い、相互コメントをし合います。
1人KYTでは、要する時間を短縮するとともに、一人ひとりの危険に対する感受性向上を図っています。
実際の現場では、ずっと1人作業を続けている作業者も珍しくはなく、複数人で働いていても実質的には1人作業をしている作業者も多いのです。
そうした実情を踏まえて、一人ひとりがKYTに取り組み、危険予知能力を向上することで、チームの危険予知能力向上につなげようとするのが1人KYTです。
1人KYTのやり方
1人KYTの前提
参加メンバー
- リーダーを含めて3~4人
- リーダーは全体の進行と発表時の司会
- リーダーはKYTシートごとに交代することが望ましい
0 導入
リーダーが整列・番号、あいさつ、健康確認を行います。
メンバーにKYTシートを配布、リーダーが状況説明を行います。
リーダーは時間を計りながら進行管理をします。
1 第1ラウンド(現状把握)
メンバーはそれぞれKYTシートに描かれた状況を観察し、危険箇所と思われるところに印を記入します。
さらに危険要因とそれが引き起こす現象もシートに記入しておきます。
「○○なので、△△して××になる」(危険要因+現象)のような短文の形をとるようにします。
「○○なので△△して」危険要因
「××する」現象=事故の型
一人3~5項目程度で十分です。
2 第2ラウンド(本質追究)
メンバー一人ひとりが、特に重要と考える危険ポイントを1つに絞り込み、それを表す印をKYTシートに記入します。
3 第3ラウンド(対策樹立)
メンバー一人ひとりが、特に重要と考える危険ポイントに対する具体的で実行可能な対策を考えます。
2~3項目程度考えておきたいところです。
4 第4ラウンド(目標設定)
重点実施項目を1つに絞って、行動目標を設定し、「○○する時は□□を△△して××しよう」といった形のチーム行動目標ににまとめ、KYTシートに記入します。
5 確認
指差し呼称項目を1項目決め、KYTシートに記入しておきます。
6 レポート
危険のポイント、行動目標及び指差し呼称項目を記入したレポート(3行レポート)を作成します。
7 発表および反省
6まで終了した後、リーダーが司会役となり、メンバー全員にレポート内容を発表させます。
続いて1人KYTの内容についてチーム内で反省及び相互コメントを行い、それを踏まえてリーダーが中心となってメンバーとともに、指差し呼称項目を1項目定めます。
自問自答カード1人KYT
自問自答カード1人KYTとは
自問自答カード1人KYTは1人KYTの応用的な手法で、KYT4ラウンド法を基礎としつつ、時間短縮を図るとともに、危険の見落としを防ぐような工夫をした手法です。
口頭で行うものとし、第3ラウンド(対策樹立)を省略、発表及びチーム内反省の代わりにリーダーが直接アドバイスして、全体にかかる時間を短縮しています。
時間を短縮しようとして危険の見落としが発生するのを防止するために、その職場で発生するおそれのある事故の型を列記した「自問自答カード」を使用します。
自問自答カード
自問自答カードは
墜落しないか?転落しないか?
転倒しないか?
激突しないか?
・
・
・
というように、事故の型をもとにした項目をカードに列記したものです。
列記された項目を読み上げながら第1ラウンド(現状把握)を行うので、危険の見落としにくくなるのです。
自問自答カード作成上の注意
自問自答カードに列記する項目は、多すぎると使わないものばかりになってしまうので、過去の災害等を参考に、頻度の高いものや強度の高いものに限定します。
また、安全に関する項目だけでなく、品質・生産に関する項目を加えてもいいでしょう。
自問自答カード1人KYTのやり方
前提
参加メンバー
- リーダーとメンバーの2人が基本です。
自問自答カード等
自問自答カードには、職場の主要な作業で発生した災害、ヒヤリハットを事故の型別でとらえ、発生可能性の高いものからカードに列記します。
その他
自問自答カード1人KYTは口頭で行います。
0 導入
リーダーが整列・番号、あいさつ、健康確認を行います。
リーダーがメンバーにKYTシートを渡し、状況説明を行います。
1 第1ラウンド(現状把握)
メンバーは自問自答カードに列記された項目を1つずつ順に読み上げながら、KYTシートに潜む危険要因を発見していきます。
さらに危険要因とそれが引き起こす現象について、「○○なので、△△して××になる」(危険要因+現象)のような短文の形をとるようにして指摘します。
「○○なので△△して」危険要因
「××する」現象=事故の型
危険を3~5項目挙げるようにします。
2 第2ラウンド(本質追究)
メンバーは、特に重要と考える危険ポイントを1つに絞り込みます。
3 第3ラウンド(対策樹立)
省略します。
4 第4ラウンド(目標設定)
メンバーが重点実施項目を1つに絞って、行動目標を設定し、「○○する時は□□を△△して××しよう」といった形のチーム行動目標ににまとめます。
5 確認
メンバーが指差し呼称項目を1項目決めます。
その後、リーダーはメンバーに対して、内容についてのアドバイスを与えます。
6 レポート
危険のポイント、行動目標及び指差し呼称項目を記入したレポート(3行レポート)を作成します。