SKYTはShort time KYT(ショートタイム危険予知トレーニング)の略で、ワンポイントKYTをさらに洗練したKYTとも表現できるものです。
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目次
SKYTとは
SKYTは、現場でその時その場に即した実践的な危険予知を行うための手法で、KYT4ラウンド法の応用的な手法です。
同じく応用的手法であるワンポイントKYTをさらに簡略化した手法ともいえます。
SKYTでは、基本となる4ラウンドのうち、第2ラウンド(本質追究)を危険のポイント1つ(ワンポイント)に絞り込み、第3ラウンド(対策樹立)を省略、第4ラウンド(目標設定)以降をリーダーが一方的に進めます。
- 第2ラウンドの本質追究(危険のポイントは何か)を危険のポイント1つに絞り込む
- 第3ラウンドの対策樹立(あなたならどうする)を省略
- 第4ラウンドの目標設定(私たちはこうする)及び確認をリーダーが行う
ワンポイントKYTの第3ラウンドを省略、第4ラウンド以降をリーダーが一方的に進めることにしたものということもでき、簡便かつ少人数でできるようになっています。
SKYTではリーダーシップが重要
SKYTは現場でその時その場に即した実践的な危険予知を行うための手法で、KYT4ラウンド法に比べ、短時間かつ少人数で行えるので、いつでもどこでもできるという特徴があります。
リーダーが一方的に進める部分が大きいので、全体を3分程度というごく短時間で実施できるようになりますが、リーダーの能力とリーダーシップが不足しているとうまくいきません。
この点、SKYTはリーダーのリーダーシップ養成も狙いとしています。
SKYTにはチームのKYT能力が必要
SKYTはリーダーが中心となる手法なので、自主的活動としての小集団活動の考えに反しているとも考えられます。
殊に強りリーダーシップにメンバーが依存するようになると、そうした懸念も現実になってしまうでしょう。
チームメンバーの能力や人間関係、チームのKYTの定着レベル等、様々な要因によってSKYTが適切かどうかが違ってきます。
リーダーのリーダーシップはもちろん、チームのKYTを実行する能力すべてが高いレベルにあってはじめて、SKYTは理想的なものとなります。
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SKYTの特徴
SKYTは基本となるKYT4ラウンド法を簡略化し、2~3分というごく短時間で実施できるようにしています。
それを実現するために、次のような絞り込み、省略を行っています。
- 第2ラウンド(本質追究)の危険のポイントをワンポイントに絞り込む
- 第3ラウンド(対策樹立)を省略
- 第4ラウンド(目標設定)及び確認をリーダーが一方的に行う
また、次のように手続きも簡略化しています。
- 口頭で行う
- 2~3人の少人数で行う
- ホワイトボード等は使わない
SKYTは短時間KYT
基本となるKYT4ラウンド法(KYT4R法)は、相対的に多くの参加メンバーが本音で話し合い、危険を指摘し合うものです。
また、進行過程をホワイトボード等に書きながら行います。
その結果、ある程度時間がかかってしまうものになってしまいます。
SKYTでは、危険の情報を共有しつつ時間を短縮するためリーダーが一方的に行います。
時間短縮だけが目的ではない
SKYTは、短時間で完了させることができるように、対策樹立を省略するとともに目標設定及び確認をリーダーが一方的に行うことにしています。
また、2~3人程度の小人数で口頭で行うこととし、危険のポイントを1つに絞り込んで行います。
注意したいのは、危険のポイントの「絞り込み」は時間を短縮するためだけにするものではないことです。
1つの危険だけ考えれば短時間でできる、というものではなく、 現場での実践につなげるため、着目する危険のポイントを絞ることが目的なのです。
SKYTのやり方
SKYTは、KYT4ラウンド法を基礎としつつ、KYTを現場で活用してくための手法です。
SKYTは次のようにして行います。
SKYTの前提
参加メンバー
- 2~3人程度の少人数
- 1人がリーダーとなり話し合いへの参加を促す
短時間で行う
- 口頭で行い、ホワイトボード等は使わない
- 現場・現物で立ったまま行う
KYTシート
- 危険のポイントを絞り込むため、状況を限定したKYTシートがいい
- 状況説明に使い、KYTは現場・現物で行う
- できる限り現場に即した自社製がいい
SKYTでは、作業チームが現場に即したKYTを繰り返すことができるようになり、訓練の回転を速くすることによりKYTの定着が進むという点でも有効です。
現場では時間が大切です。
SKYTの手順
0 導入
メンバーが円陣を組み、リーダーが整列・番号、あいさつ、健康確認を行います。
1 第1ラウンド(どんな危険が潜んでいるか)
リーダーはKYTシートに描かれた状況を説明し、メンバーの発言を促します。
KYTシートの中に潜む危険要因とそれが引き起こす現象を指摘し合います。
「○○なので、△△して××になる」(危険要因+現象)のような短文の形をとるようにします。
「○○なので△△して」危険要因
「××する」現象=事故の型
ただし、指摘はそれほど多くなる必要はなく一人2~3項目程度、3~5項目程度で十分です。
2 第2ラウンド(これが危険のポイントだ)
リーダーは参加メンバーと話し合い、危険のポイントを一つに「絞り込み」ます。
それを指差し唱和する等して、参加メンバーが合意したことを表します。
第3ラウンド(あなたならどうする)は省略します。
3 第4ラウンド(私たちはこうする)
リーダーは参加メンバーと話し合うことなく、2の危険ポイントに対する重点実施項目を決め、チーム行動目標を設定します。
ここから
「○○する時は□□を△△して××しよう」
といった形のチーム行動目標を、参加メンバー全員で確認します。
4 確認
リーダーが指差し呼称項目1つを決め3回唱和して確認します。
以上の手順全体を3分以内に完了するようにするのが目標です。
5 レポート作成
SKYTでもレポートを作成します。
リーダーは上記の手順終了後、次の点についてレポートを作成します。
- 第2ラウンド ワンポイント
- 第4ラウンド チームの行動目標
- 確認 指差し呼称項目
を記入します。
そのためには事前にレポートの様式を定めておきます。
「短時間KYメモ」等で検索するといくつか様式が見つかります。。
SKYTを実施するための注意
SKYTは、KYTが浸透した職場に適した手法で、特にリーダーはKYTの正しいやり方に習熟し、かつ、リーダーシップを身に付けている必要があります。
簡便なKYTの手法と勘違いしてしまうと、効果が発揮できないことになります。
また、第2ラウンドで危険のポイントを「絞り込み」ますが、これは多様な危険や対策を無視するということではありません。
危険は1つしかない、という態度をすすめるものではありません。
SKYTは口頭で行いますが、手順終了後のレポート作成は必須です。
口頭で短時間で行うからこそ、記録はしっかり取っておく必要があります。
作成の省力化のためにも、様式を事前に決めておくことが重要です。
KYT4ラウンド法(KYT4R法)
SKYTも基本となるのはKYT4ラウンド法です。
危険予知トレーニング(KYT)は、具体的には「KYT4ラウンド法(KYT4R法)」と呼ばれる方法によって実施するのが一般的です。
危険予知トレーニング(KYT)は、十分な話し合いができる5~6人くらいのチームで実施すると効果的です。
4ラウンド(4R)は、第1ラウンド(現状把握)、第2ラウンド(本質追究)、第3ラウンド(対策樹立)及び第4ラウンド(目標設定)からなります。
1 第1ラウンド(現状把握:どんな危険が潜んでいるか)
職場や作業現場などの日常の風景の写真やイラストをKYTシートとして、参加メンバーに提示します。
その中に、どのような危険が潜んでいるか、参加メンバーに危険要因を指摘させます。
2 第2ラウンド(本質追究:危険のポイントは何か)
指摘内容が一通り出揃ったところで、その危険要因の原因等について参加メンバー間で検討させ、危険要因を整理させます。
3 第3ラウンド(対策樹立:私たちはどうしたらよいか)
重要と判断した危険要因に対して、危険が現実のものにならないようにするためにはどうすればよいかを検討します。
4 第4ラウンド(目標設定:私たちはこうする)
第3ラウンドでできた対策のうち現実的で実効性のあるものを選び、同様の状況や作業における行動規範を、安全目標として標準化します。