交通1人4ラウンドKYTは、交通KYT基礎4ラウンド法を1人でも実施できるようにした手法です。
メンバーは交通KYTの最後に自己チェック表で到達度をチェックし、自己の能力を判定できる点で特徴的です。
目次
交通1人4ラウンドKYT
交通の場合、事業所等での作業のようにラインが共同して作業することはなく、基本的には運転者一人ひとりが自己の判断とそれに基づく運転行動をするものです。
したがって、交通KYTにおいては、個々の運転者の問題ある判断と運転行動を変え、予知された危険に対応できるようにすることが目標になります。
個々の危険予知能力がどの程度なのかを評価できるようにしたのが交通1人4ラウンドKYTです。
交通1人4ラウンドKYTのやり方
準備するもの
- KYTシート
- 記録用紙
1 第1ラウンド(現状把握)
運転者になり切り、KYTシートに描かれた状況を観察して、危険箇所と思われるところに印を記入します。
さらに危険要因とそれが引き起こす現象も記録用紙に記入しておきます。
「○○なので、△△して××になる」(危険要因+現象)のような短文の形をとるようにします。
「○○なので△△して」危険要因
「××する」現象=事故の型
3項目以上指摘できるようにしたいところです。
2 第2ラウンド(本質追究)
1で出された危険要因について、1つずつ明確化します。
重要なのは、(1)運転者の判断、(2)それに基づく運転行動、(3)相手及び(4)現象を明確にすることです。
3 第3ラウンド(対策樹立)
明確化された危険について、実行可能な具体策(実施項目)を策定します。
大事なのは、自分が運転者としてどのような判断をしそれに基づいてどのような運転行動をするのか、という視点で考えることです。
2~3項目程度考えておきたいところです。
4 第4ラウンド(目標設定)
実施項目の1つについて行動目標を設定し、「○○する時は□□を△△して××しよう」といった形の行動目標ににまとめ、記録用紙に記入します。
5 確認
指差し呼称項目を1項目決め、記録用紙に記入しておきます。
2で明確化した危険要因について、それぞれ3~5を行います。
6 自己チェック
記録用紙を見ながら自己チェック表を使って、自分の交通KYTの出来をチェックします。
交通自問自答カード1人KYT
交通自問自答カード1人KYTは、交通KYT基礎4ラウンド法を基礎としつつ、時間短縮を図るとともに、危険の見落としを防ぐような工夫をした手法です。
チェック項目が書かれた「交通自問自答カード」を読み上げて、自問自答しながら交通KYTをすすめるところに特徴があります。
交通自問自答カード1人KYTは現状把握を重視
交通自問自答カード1人KYTでは、交通KYT基礎4ラウンド法の4ラウンドのうち、第1ラウンド(現状把握)及び第2ラウンド(本質追究)を「現状把握」、第3ラウンド(対策樹立)及び第4ラウンド(目標設定)を「対策」としてそれぞれまとめています。
- 第1ラウンド(現状把握)及び第2ラウンド(本質追究)→現状把握
- 第3ラウンド(対策樹立)及び第4ラウンド(目標設定)→対策
危険要因を的確に把握することを重視すると同時に、要する時間を短縮することができます。
交通自問自答カード
時間を短縮しようとして危険の見落としが発生するのを防止するために、自問自答すべき項目を列記した「交通自問自答カード」を使用します。
列記された項目を読み上げながら現状把握を行うので、見落としにくくなるのです
交通自問自答カードには、点検項目を列記したものと事故の型をもとにした項目を列記したものとの2つの作り方があります。
点検項目を記入した交通自問自答カード
- 前方よいか
- 右側よいか
- 左側よいか
- 後方よいか
- 上下その他よいか
というように、点検項目を列記したものです。
事故の型をもとにした項目を列記した交通自問自答カード
- ぶつからないか・ぶつけられないか
- 接触しないか・接触されないか
- 巻き込まないか・巻き込まれないか
- 追突しないか・追突されないか
- その他の現象はないか
というように、事故の型をもとにした項目をカードに列記したものです。
交通自問自答カードは、いずれか一方を使用しても、併用しても構いません。
交通自問自答カード1人KYTのやり方
交通自問自答カード1人KYTの前提
- リーダーとメンバーの2人が基本です。
- 交通自問自答カードは、いずれか一方を使用しても、併用しても構いません。
- 通常口頭で行います。
0 導入
リーダーが整列・番号、あいさつ、健康確認を行います。
リーダーがメンバーにKYTシートを渡し、状況説明を行います。
1 現状把握
メンバーは交通自問自答カードに列記された項目を1つずつ順に読み上げながら、KYTシートに潜む危険要因を発見していきます。
さらに危険要因とそれが引き起こす現象について、「○○なので、△△して××になる」(危険要因+現象)のような短文の形をとるようにして指摘します。
「○○なので△△して」危険要因
「××する」現象=事故の型
次に指摘された危険を明確化していきます。
重要なのは(1)運転者の判断、(2)それに基づく運転行動、(3)相手及び(4)現象を明らかにしすることです。
2 対策
1で明確化された危険要因と現象に対する実行可能な対策を策定、それをもとに行動目標を設定します。
行動目標は「○○する時は□□を△△して××しよう」といった短文にします。
3 確認
指差し呼称項目を1項目決めます。
4 繰り返し
KYTシートに中に潜む他の危険要因と現象について、1~3の手順を繰り返します。
どれだけの危険要因と現象を指摘させるかはリーダーの判断によります。
交通KYTの効果があると判断できるのであれば、必ずしもすべてを指摘しつくす必要はありません。